リゾートバイト(リゾバ)という働き方を選択する際、最大の分かれ道となるのが「住み込み」か「通い」か、という勤務形態の選択です。どちらもリゾート地のホテルという非日常の環境で働ける点は共通していますが、生活スタイル、経済状況、人間関係の築き方など、あらゆる面で大きな違いがあります。
本稿では、あなたの目的やライフスタイルに最適な選択をするために、「住み込み型」と「通い型」のリゾートホテルワークを、多角的な視点から徹底的に比較し、それぞれのメリットと留意すべき点について詳細に解説します。
1. コストと環境
【住み込み型】
住み込み型リゾートバイトの最大の魅力は、圧倒的な貯金効率にあります。多くの求人で「寮費・光熱費・食費無料」という条件が提示されており、これは生活における三大固定費がゼロになることを意味します。家賃や水道光熱費の支払いが一切発生しないため、給与のほとんどを手元に残すことが可能です。
短期間でまとまった資金を目標とする人にとっては、他のアルバイトと比較しても群を抜いて効率的です。また、家具・家電付きの寮が提供されるため、初期費用や引っ越し費用も最小限に抑えられます。
【通い型】
通い型の場合、自宅や自分で手配した住居から勤務先に通勤するため、当然ながら家賃、光熱費、食費、そして通勤にかかる交通費は自己負担となります。結果として、給与から差し引かれる生活コストが高くなり、住み込み型ほどの貯金効率は期待できません。
しかし、自宅の近隣にあるリゾート施設で働く場合は、通勤手当が支給されることが多く、遠方への引っ越しに伴うコストや手間は不要です。
2. 住居とプライベート空間の確保
【住み込み型】
住み込みの多くは、ホテルの敷地内や近隣に用意された従業員寮で生活することになります。近年は個室寮も増加していますが、依然として相部屋の形態も存在します。個室であっても、他のスタッフと同じ建物内で生活するため、仕事とプライベートの切り替えが難しいと感じる人もいます。
しかし、通勤時間がゼロに等しいという利便性は、自由時間の確保に大きく貢献します。
【通い型】
通い型は、自宅で生活するため、完全にプライベートな空間が確保されます。仕事が終われば、職場の人間関係や環境から切り離された自宅に戻れるため、精神的なリフレッシュが容易です。
生活の基盤が安定しているため、リゾートバイト以外の活動(学業、趣味、別の仕事など)との両立を図りたい人にとっては理想的です。
3. 人間関係の密度と交流の機会
【住み込み型】
住み込み型は、仕事も生活も同じ場所で、同じメンバーと過ごす時間が長くなります。これにより、スタッフ間の連帯感は非常に強くなり、短期間で深い友情が築きやすいという特徴があります。オフの日も一緒に観光に出かけたり、寮で食事をしたりと、濃密なコミュニティが形成されます。
「新しい出会い」や「仲間作り」を重視する人にとっては、最大の魅力の一つです。しかし、その反面、人間関係が固定されやすく、万が一、職場や寮内でトラブルが生じた場合、逃げ場がないと感じてしまうリスクもあります。
【通い型】
通い型の場合、職場での交流は勤務時間内に限定されることがほとんどです。職場のスタッフとの関係は「仕事仲間」として割り切りやすく、適度な距離感を保つことができます。プライベートは完全に自分の裁量でコントロールできるため、既存の友人や家族との関係を維持したい、職場とは一線を画したい、と考える人に向いています。
4. 働き方とシフトの柔軟性
【住み込み型】
住み込み型リゾバの求人の多くは、長期間(1ヶ月~3ヶ月以上)かつフルタイム(週5〜6日勤務)を前提としています。これは、ホテル側が遠方からスタッフを呼び、生活環境を提供しているため、安定した労働力を求めるからです。
結果として、シフトの融通は利きにくい傾向にありますが、その分、安定した収入が保証されます。
【通い型】
通い型リゾバは、自宅から通勤可能であるという地理的な制約があるため、短時間勤務や週末のみ、週に数日といった柔軟なシフトで募集されているケースが見られます。地元の学生や主婦など、自分の生活リズムに合わせて働きたい人にとって、非常に適した働き方です。
比較表:住み込み型と通い型の違い
| 比較項目 | 住み込み型リゾートホテルワーク | 通い型リゾートホテルワーク |
|---|---|---|
| 貯金効率 | 極めて高い(生活費ゼロに近いため) | 低い(生活費自己負担のため) |
| 初期費用 | 低い(家具・家電付き、引っ越し不要) | 高い(住居手配が必要な場合) |
| プライベート | 確保しにくい(職場と生活が一体化) | 完全に確保できる(仕事と生活の分離) |
| 人間関係 | 濃密(深い連帯感と逃げ場の少なさ) | ドライ(適度な距離感、ストレス軽減) |
| 勤務期間 | 長期間・フルタイムが基本 | 短期間・短時間の選択肢が多い |
| 適した人 | 貯金目標が明確で、新しい環境での交流を求める人 | 自宅周辺で働きたい、私生活との両立を重視する人 |
あなたのリゾートバイトの目的は何でしょうか?
「貯金に全振りしたい」「非日常で新しい仲間と生活したい」なら、住み込み型が最良の選択です。
「生活リズムを崩さずに働きたい」「経済的自立を目指しつつ、家のこともしたい」なら、通い型で柔軟に働くことが適しています。